原因不明の痛み・しびれでお悩みの方へ
― このページの目的と読み方
このページは、
いまお悩みの症状に新しい病名をつけるためのものではありません。
原因不明と言われた症状を、
どのように考えると、向き合いやすくなるのか
その整理のための“地図”としてお読みください。
- 検査しても異常がないのに症状が続いている
- 原因がはっきりせず、どうなるのか不安…
- いろいろな治療を試しても良くならない
このような状態で悩んでいませんか?
慢性的に続く痛みや異常感覚の背景には、
体のどこかが壊れているというより、
“神経の感じ方”自体が過敏になっている状態
が関係していることがあります。
その考え方のひとつが、
中枢性感作症候群(CSS)
(Central Sensitization Syndrome)です。
中枢性感作症候群(CSS)とは何か
病名ではなく「症状をつなぐ共通背景」
CSSとは、
脳や脊髄などの中枢神経が
異常に過敏な状態となってしまい
本来なら不快に感じないような
日常的な普通の刺激でも
痛みや不快感として感じてしまう状態
診断名というよりも、
慢性痛・しびれ・異常感覚に共通してみられる
「神経系の過剰反応パターン」
を説明する概念です。
簡単に言えば、
- 痛みの“ボリューム”が上がったまま
- 意思と関係なく異常感覚が繰り返される
- 危険センサーが敏感になりすぎている
ような状態ともいえます。
そのため、
- ケガや炎症が治ったあとも痛みが続く
- 痛みやしびれの部位や範囲が広がる
- 日によって強さが変わる
- 説明しづらい違和感や異常感覚が出る
といったことが起こります。
神経回路で何が起きているのか
中枢性感作の状態を理解するうえで、
もっとも整理しやすいのが
神経回路を「入力・処理・出力」に
分けて考える見方です。
― 入力・処理・出力の過敏化と悪循環
中枢性感作症候群の状態は、
もう少し整理すると、
神経回路の「入力」「処理」「出力」
それぞれが異常に過敏になり、
全体として暴走してしまっている状態
とも考えることができます。
■ 入力:刺激を受け取りすぎている
「入力」とは、
- 皮膚に触れた感覚
- 筋肉や関節の動き
- 内臓の違和感
- 温度・圧・振動
- そして不安や緊張などの心理的刺激
といった体や心に入ってくるあらゆる刺激です。
CSSの状態では、
本来なら問題にならないような弱い刺激でも、
強すぎる“危険信号”として入力されてしまう
ことがあります。
■ 処理:脳の中でブレーキがきかず、暴走している
「処理」とは脳や脊髄の中で、
- その刺激がどれくらい危険か
- 痛みとして感じるかどうか
- どれくらい強く感じるか
を判断・調整する働きです。
CSSではこの部分が、
アクセルばかり踏まれ、
ブレーキがききにくい状態
になっていると考えられます。
その結果、
- 小さな刺激でも強い痛みになる
- いつまでも信号が止まらない
- 少しのきっかけで再燃する
といったことが起こります。
■ 出力:強すぎる信号と過剰な反応
「出力」とは、
最終的に体に現れる反応です。
- 強い痛み・しびれ・異常感覚
- その信号が長く続く
- 筋肉のこわばり、緊張
- 血流や皮膚の変化
- 動かしにくさ
といった形で表れます。
過敏な神経回路の悪循環
CSSでは、
強くなった「出力(痛み・不安・緊張)」そのものが、再び「入力」となって神経に戻り、過敏さを強めてしまう悪循環が起こります。
この悪循環によって、
必要以上に強く、長く、
広い範囲に、
さまざまな症状が出力されてしまう
状態になっていると考えられます。
なぜ検査で「異常なし」と言われやすいのか
― 構造の異常と機能の異常の違い
CSSでは、
- MRI
- レントゲン
- 血液検査
などで、はっきりした異常が見つからないことも少なくありません。
このような「異常がない」という結果は症状を否定されたわけではなく、命に関わる重大な病気が除外されたという意味でもあります。
しかしそれは、
問題がないという意味ではなく、
神経回路の“働き方”が
変化してしまっている
ということです。
👉 痛みやしびれは気のせいではなく、
神経システムの変化として
実際に起きている反応です。
CSSが関わりやすい症状の共通パターン
病名よりも「症状の性質」に注目する
CSSの視点が役立つのは、
特定の病名がついた症状だけではありません。
診断名が違っても、
症状の出方や経過に共通点がある場合、
同じ枠組みで理解できることがあります。
中枢性感作という視点は、
次のような慢性症状とも深く関係しています。
痛み・しびれが中心の症状
- 顔・口の痛みとしびれ(舌痛症、三叉神経痛など)
- 術後の痛みやしびれ(術後疼痛症候群)
- 脳卒中後遺症・視床痛
- 手足のしびれ
- 原因不明の慢性的な痛み・しびれ・異常感覚
強い痛み・感覚過敏が特徴的な症状
全身症状・疲労感・自律神経の症状
- 慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎(ME/CFS)
- 化学物質過敏症
- 自律神経失調症、慢性疲労、体調不良
- 起立性調節障害
- 薬の副作用による不随意運動、異常感覚など
人に相談しづらい症状
- 陰部神経痛・陰部痛・肛門痛
- 持続性性喚起症候群(PGAD)
- 「心の問題」などと言われている症状
診断名は違っても、
「神経が過敏になり続けている」という共通の土台で説明できるケースが少なくありません。
ケガや手術のあとに、腫れや色の変化を伴いながら強い痛みが続く**CRPS(複合性局所疼痛症候群)**も、中枢性感作と深く関係すると考えられています。
👉 CRPS(複合性局所疼痛症候群)とは?原因と向き合い方
帯状疱疹後神経痛など、ウイルス感染後に痛みやしびれが長く残る神経痛も、中枢性感作の視点で理解できる場合があります。
👉 帯状疱疹後神経痛・神経痛の痛みと向き合う
脳卒中(脳出血・脳梗塞・クモ膜下出血)の後、少し時間が経ってから麻痺のある半身を中心に耐え難いような痛みやしびれが出てくることがあります。これは視床痛と言われます。
脳卒中のダメージに加えて、脳の神経回路が過敏になってしまうことが関係すると考えられます。
👉 脳卒中後遺症・視床痛とはー痛みやしびれが続く背景を整理するー
全身の広い範囲に痛みやこわばり、強い疲労感が続く疾患です。
検査では明確な異常が見つかりにくく、神経の痛みの感じ方が過敏になっている状態が
背景にあると考えられています。
👉 線維筋痛症とは?原因不明の全身の痛みが続く理由と向き合い方
夜になると脚がむずむずして眠れなくなる**むずむず脚症候群(RLS)**も、感覚過敏という点でCSSと共通の背景を持つと考えられます。
👉 むずむず脚症候群とは?原因と向き合い方
休んでも回復しない強い疲労感を中心に、痛み、集中力低下、睡眠障害などが長く続く状態です。体への負荷やストレスをきっかけに、神経や脳の調整がうまく働かなくなることが
関係していると考えられています。
👉 慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎(ME/CFS)とは?鉛のような倦怠感や睡眠障害との向き合いかた
陰部や肛門部などの繊細な部位に痛みやしびれが続いてしまう陰部神経痛も、中枢性感作の視点で理解できる場合があります。
👉 陰部神経痛とは?原因・症状・治療法をわかりやすく解説
性的刺激や理由がないのに、性器のむずむず・ジンジン感が続く**持続性性喚起症候群(PGAD)**も、神経の過敏さが関与する症状のひとつです。
👉 持続性性喚起症候群(PGAD)とは?原因と向き合い方
薬を服用する中で、体が勝手に動く(不随意運動)、しびれや不快感を感じるようになる、というような症状が出てくることがあります。薬の影響で脳の神経が過敏になったり暴走したりすることも原因の一つである可能性があります。
👉 薬の副作用による不随意運動・異常感覚について
CSSはなぜ起こるのか
― ひとつの原因ではなく、要因の「重なり」として考える
CSSが起こる背景には、
- ケガ・手術・炎症などの強い刺激
- 長引く痛みの経験
- 強いストレスや不安
- 睡眠不足や疲労
- ショッキングな体験
- 高熱
- ウィルス・細菌などに感染
- 体質的な要因
などが重なり、
神経が「危険だ」と学習しすぎた状態
になってしまうことが関係すると考えられています。
本来、痛みは体を守るための大切な仕組みですが、それが必要以上に働き続けてしまっている状態
ともいえます。
CSSは、
「あなたの気持ちが弱いから起こった」
「性格の問題」
というものではありません。
CSSと向き合うための基本的な考え方
CSSへの対応は、
薬や手術で元通りに戻すことではなく、
過敏になりすぎて暴走している神経を“落ち着かせていく”プロセスです。
「治す」よりも「落ち着かせていく」
CSSは比較的新しい概念であり、
現時点では「これをすれば必ず治る」という確立された治療法はありません。
薬物療法、リハビリ、心理的アプローチなどが行われますが効果には個人差があり、
- 十分な改善が得られない
- 副作用がつらい
- 先が見えず不安になる
という方も少なくありません。
少しずつ「暴走」を弱めていく
CSSに対して大切なのは、
神経回路の「入力・処理・出力」それぞれの過敏さを、
少しずつ弱めていくこと
だと私は考えています。
具体的には、
- 入力:
患部への刺激や負担をできるだけ減らす
心身の緊張や無理な動きを減らす - 処理:
暴走している脳の神経を鎮めるように促す
脳や神経が安心できる環境をつくる - 出力:
出てくる信号の強さや持続時間を和らげる
こわばった筋肉や体の緊張をゆるめる
こうした働きかけを重ねていくことで、
神経回路全体の負担が少しずつ下がり、
その分、症状も弱くなっていく
と考えています。
一気にすべてを変えることは難しくても、
それぞれを少しずつ減らせば、全体の症状も少し穏やかになっていく。
それを積み重ねていくイメージです。
セルフケアの位置づけと基本方針
人の脳には「安定させる力」があります
ここで大切なのが、
人の脳や神経には、
もともとバランスをとり、
安定した状態に戻そうとする“適応力”が備わっている
という点です。
たとえば、
- 環境が変わっても少しずつ慣れる
- ケガをしても回復していく
- 強い刺激が続いても、やがて落ち着いてくる
こうした働きも、すべて脳の適応力です。
CSSでは、この適応の仕組みがうまく働かず、
「過敏な状態」で固定されてしまっていると考えられます。
👉 だからこそ、
この“適応力”がもう一度うまく働くように促していくことが、
今考えられる中で、最も着実な改善への道
と捉えることができます。
「神経を元に戻す」より、「適応し直す」
CSSへの向き合い方で大切なのは、
- 無理に痛みを消そうとする
- どこかの異常を探し続ける
ことよりも、
神経が「もう大丈夫」と学び直せる環境を、
少しずつ整えていくことです。
それが、
現時点で考えられる中で、
もっとも現実的で着実な改善への道だと考えています。
そのためには、
- 体の緊張をゆるめる
- 血流や循環を整える
- 脳の過剰なはたらきを落ち着かせる
- 呼吸や睡眠の質を高める
- やさしい刺激で体を動かす
- 不安や緊張を軽くする
- 「怖くない」という体験を積み重ねる
といった、
全体から神経のバランスを整えるアプローチが重要になります。
ここで挙げた考え方を、
日常生活の中でどう活かすかについては、
セルフケアのページで具体的に整理しています。
当院の考え方と立ち位置
ペレス・テラキ治療室では、
「一緒に治していきましょう。
どうすれば良くなるかを共に考えて見つけていく」
という姿勢で、
CSSの背景が考えられる慢性症状と向き合っています。
当院では、
- 痛みの部位だけでなく体全体の評価
- 神経の過敏に関係するポイントへの施療
- 血流・循環を意識したアプローチ
- 自律神経のバランスを整えるケア
- 日常生活やセルフケアのアドバイス
を組み合わせ、
脳と神経が本来もつ“安定する力”が
少しずつ働きやすくなる環境を整えていく
ことを大切にしています。
👉 回復してうまく維持していくためには
「治してもらう」ではなく「一緒に整えていく」というスタンスが重要です。
CSSの視点が役立つかもしれない方
- 原因不明の痛みやしびれが続いている
- 検査では異常がないと言われた
- 原因がないのに異常な感覚が繰り返される
- 薬を飲んでも改善しきらない
- 日によって症状が変動する
- もう良くならないのではと不安
CSSの仕組みを理解したうえで、
「では、日常で何から始めればいいのか?」と感じた方は、
👉 刺激を減らすだけでも楽になる?CSSの視点から考える
を参考にしてみてください。今日からできるヒントをまとめています。
医療機関との関係性と併用の考え方
CSSの視点は、医療を否定するものではありません。
経験したことがないような強い症状や急激にあらわれた症状がある場合は、
まず医療機関を受診してください。
- 急激な症状の悪化
- 経験したことのない強い痛みやしびれ
- 発熱、異常な悪寒、強い頭痛
- 強い息苦しさ、異常な動悸
- 腫れ、変色、変形
- 力が入らない、感覚がない
- 排泄がうまくできない
医療で「守り」を固めながら、
東洋医学や民間療法、セルフケアで
体の回復環境を整えていく。
着実に回復していくためには、これらを併用することが効果的です。
ひとりで抱え込まず、ご相談ください
CSSという考え方は、
「あなたの症状は、
体と神経の反応として説明できる」
という視点を与えてくれます。
それだけでも、
少し安心できる方もいます。
ペレス・テラキ治療室では、
あなたのお話を丁寧に伺いながら、
今より少しでも楽になる道を一緒に探すお手伝いをします。
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「まずは相談だけ」でも大丈夫です。
どうぞお気軽にご連絡ください。